「まことの礼拝」

1999年1月24日

ヨハネ福音書4章19~26節

説教者 辻中徹也牧師

 

  • この箇所には、ヤコブの井戸のそばで主イエスとサマリアの女が出会った出来事が記されています。この出会いにおいてイエスは二つの境界線を越えて女に近づかれています。

  • 一つはサマリア人とユダヤ人のあいだに横たわる民族の壁です。アッシリアの占領政策によりサマリアは他国人と混ざり合いました。それはユダヤ人にとって受け入れがたいことであり、両者は敵対関係にありました。もう一つは男と女という立場の違いです。サマリアの女にとって、女であることは社会から受け入れられず、人目をはばかって水くみをしなければならないような現実でありました。それは、彼女が5人の夫との結婚に破れ、今や夫ではない男と連れ添っていたからです。

  • イエスの「水を飲ませて下さい」という語りかけは、この女が他者との交わりに生きること、他者に与えて生きることへの招きでありました。女にとっては暗闇に差し込む一条の光であったのです。女はイエスに「主よ」と応え「あなたは預言者だとお見受けします」と言いますが、礼拝すべき場所についての議論を持ちかけ、近づかれたイエスをとおまわしに拒否しました。

  • イエスは「まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時がくる。今がその時である」と宣言され「わたしを信じなさい」と応えられました。民族の隔て、立場のちがいという境界を越えて女に近づかれた主イエスを通して、わたしたちは神の霊を受けて真理をもって神の前に立つ礼拝の時を与えられます。「魂の渇き」を潤すまことの礼拝は、イエスの愛と出会い、イエスによって示される神と出会う場に生まれるのです。

Comments are closed.